洗濯物グラデーションに干して春

 

春昼の馬の嘶き空耳か

 

桜へとピンクの幟はためいて

 

満腹になるまでお食べ春休み

 

草萌える斜め掛けして旅鞄

 

 波戸辺のばら

   写真のばら・正月桜 


看護師になりたいのですヒヤシンス

 

木の芽時一人もなかなかいいもんだ

 

行列の半分くらい春の服

 

藤の昼妥協してないカレーパン

 

桜草倒そうとする風嫌い

 

 林田麻裕 

春が来て姉八十五どこへゆく

 

腰が痛た我が身の末を見届ける

 

歩くのはもう無理春のおまんじゅう

 

残りものさらえ三月昼ごはん

 

春うらら姉と二時間電話して   

 

   火箱ひろ


春眠や雨足強くなつてきし

 

ちちははの声がしたやう彼岸雪

 

ぱらぱらと明るき雨や田芹摘む

 

そこそこの風こそ良かり風車

 

龍天にカストラートの喉の闇

 

   松井季湖 

                    写真季湖・さくらんぼの花

  


蝶々の飛んではとまる空き家かな

 

赤い椿ポチッと咲いてお引越し

 

春の猫空き家にふっと立ち止まり

 

さえずりの飛び散ってまた集まって

 

春の雪ビオフェルミンをのんでおく

  

おーたえつこ

白梅の影をゆらりと過ぎる鯉

 

たんぽぽの隣三番札所なり

 

この庭に母はいましたチューリップ

 

飛び立った花粉まみれの蜂の貌

 

万年筆ここに置いてたはずの春

 

 たかはしすなお


春風の余韻ブックカバー外す

 

光る空ぶらんこ揺れて水たまり

  

飛び石に届かない足亀鳴いて

 

缶ビールギターともだち春の土手

  

名も知らぬ大き切り株花の昼

 

   つじあき
      写真 あきこ・賀茂川の春  
  


店番がどん兵衛啜る植木市

 

太陽の塔のレプリカ風光る

 

囀や木箱の中に日章旗

 

ミルク飲み人形黄ばむチューリップ

 

猫の恋占う店に椅子ひとつ

 

  辻水音

  

夫の指にちよと触れる蝶亡き子なり

 

蝶を追ふ半月板が欠けてゐる

 

花ひらきそうお招きしますこの部屋へ

 

さくら餡のももいろを食む花の下

 

春昼の鏡にわたし白髪の

 

    はしもと風里