繭 玉 抄
林田麻裕
クラシック音楽だけの番組をザッハトルテとともに楽しむ
母の方が煩悩の意味知っているけれど漢字は私の方が
救急車私の町にやってきたまさか六丁目の猫かしら
「テレビ体操うつ対策になります」と健康的な黒い瞳で
「もう一回配達行かなあかんのや」牛乳吸い終えて母笑う
繋がる五七五⑰
おーたえつこ 消しゴム版画 辻 水音
芭蕉、蕪村の次はやっぱり一茶かな。
高橋順子著「一茶の連句」(岩波書店)を見つけたので、ご紹介します。
連歌師、俳諧師という仕事で、諸国行脚する人たちがいました。俳諧修行や普及のためで
す。今まで見てきたように、ずっと昔から存在はしていましたが、芭蕉没後に急速に増えた
のだそうです。芭蕉が西行に憧れたように、芭蕉に憧れた人たちなのかもしれません。また
もちろん、暮らしを立てるための人たちも多かったようです。蕪村は、そういうやり方をあ
まり良いこととは思っていなかったようですが、スポンサーまわりや地方営業の人々ですね。
小林一茶もそのひとりです。句を作る実力があって、そこそこの人気を獲得していたよう
です。
貧乏な俳諧師、一茶のいちばん大きな庇護者で指導者が、夏目成美という俳人でもある江
戸の豪商です。
この人と一茶の両吟、つまり二人でする連句を読んでみます。一茶が40才、成美53才。
蛙なくそば迄あさる雀かな 成美
春めくものに門(かど)で薪(き)をわる 一茶
旅人の小雨にかすむ顔みへて 美
嘘つかぬ木を立てしあさぢふ 茶
(噓つかぬ木というのは、錦木のこと。浅茅生は紅葉して色変わりする、浮気心のこと。
嘘をつかない木を女性の家に立てて浮気しません、という気持ちを表す。女性はそれを受け
入れるならその木をうちに取り込みます。拒絶ならそのまんま。奥州の風習らしい。男は毎
日毎日、ずらっと木を並べてゆるしてもらえるのを待つ。旅先できいたお話。)
することの何にもなさに百合の咲く 美
けたたましさよ入梅(つゆ)の夕月 茶
「嘘つかぬ木」の恋句から、恋の気分を少しのこしつつ静かに恋離れした成美の大人な態度
にくらべて、けたたましい一句をつける一茶。梅雨の夕方 夕食の準備や、おなかすいたよ
ーと叫ぶ子供や雨が降りそうだよーって呼びかける声が賑やかなのでしょうか。下町の長
屋? 朝ドラ「らんまん」の長屋みたいな?
このあと、源氏物語や平家物語などを下敷きにした教養あるやり取りなんかに続いて、
寺にも寝たる細きあきなひ 美
(行商がうまくいかなかったので、宿屋に泊まれない。寺に泊めてもらう。)
名月の一年ましに寒うなり 茶
(懐も寒いが、実際寒い。年取るごとに身にこたえる。)
松葉にまじるはららごの塩 美
(月見酒のあてのはららご、すじこ)
萩の露目へさし消やすおもしろさ 茶
(露の光るのが目に見えたりこぼれて消えたりする)
鹿島の舟にかるたうつらん 美
(かるたは、博打のかるた。取り締まりに会わないように舟で遊ぶ)
方々にまな板たたく睦月とて 茶
(かるたをお正月の遊びのかるたとして、七草粥を付けた。)
江戸の暮らしが見えて面白いです。
これ、夜通し付け合ってたのかな、最後、こんなふう。
初霜の瓶の中まで夜は明けて 茶
もろこし舟に身をたとへけり 美
もろこし舟は、荷物を積んで行き来する舟。瓶を積んで、行ったり来たり、何やってんだ
ろねえ、の気分。確かにねえ、二人で、お疲れさまでした。もう眠くてやる気のない付け。
(笑) 寝てください。
季湖ワールド 季湖さんの庭
写真 季湖
庭の剪定の時に会ったカマキリ。怖かった事でしょう。
そしてアゲハチョウとチョウ、ニホンカナヘビ(トカゲの一種)。
季湖さんの庭に何かがあるので寄ってくるのかな。
季湖さんから一言 「結局やっぱりカマキリが好き」
秋の虹
写真 たかはしすなお
8月27日(日)午後二時頃 人生で初めて見たであろう大きな虹に遭遇。
立秋と過ぎているので「秋の虹」
同じような写真になりますが見てください。
薄っすらとですが、二重虹でした。
下の写真が一番大きい虹です。実際は虹の端っこまで見えたのです。