繭 玉 抄

    林田麻裕

将来は大きな家に住みたいわ素敵な音が満ちている家

 

三人が三人泣いているシーン私もそこにいたら泣くだろ

 

どの回も誰か悩んでいるドラマおいしい牛乳飲ませてあげたい

 

もし私蜘蛛だったなら繊細で小さな小さな巣作るだろう

 

 気の短いDJだけど番組で流れる曲は温かくって

繋がる五七五⑯

      おーたえつこ   消しゴム版画 辻 水音

 さて、もう少し蕪村の連句を見てみましょうか。

 

 大阪に住むうめさんというひとから、手紙が来ます。「京都にお住いの門下の方々は、花

につけ月につけ句会やら連句の会など楽しんでおられるようで、うらやましい」と。

 

  いとによるものならにくし凧   うめ

 

 

 これに、仲間が付けていきました。「いとによるもの」というのは、細くて長い心細い気

持ちをあらわすものとして、和歌によく使われる言葉です。京都の仲間との絆から取り残さ

れそうな気持を訴えているようですね。

   いとによるものならにくし凧   うめ

    さそへばぬるむ水の鴨川    基答

   盃にさくらの発句わざくれて   几董

    表うたがふ絵むしろの裏    小いと

   ちかづきの隣に声す夏の月    夜半(蕪村)

 

     (以下略)


 一人だけ離れてるといううめさんに、誘ってるよー、桜の会もあるよ、きれいな茣蓙敷い

てね、夏の月もね、って、それぞれが声かけてる感じがします。

 「わざくれて」はやけくそでという意味。盃が回ってくるなら曲水の宴みたい。うまく句

ができなくて、やけくそで作って出したのかな。絵むしろは裏返しに敷いてしまったのか? 

うめさんと小いとさんは女の人でしょう。なんか楽しそう。

 私も、一人だけ神戸の西の端っこで、なんとなくうめさんの気持ちがわかる。

 

 また、名古屋にいる暮雨巷(加藤暁台)が重い病気にかかっていて、少し体調が持ち直し

たときに蕪村にあてた手紙に、

 

  乾鮭をしはぶりて我が皮肉かな   暮雨

 

と、書きつけた。乾し鮭をしゃぶって生き延びた自分は乾し鮭みたいに干からびた皮と肉だ

よと。蕪村は、その句に、

 

   炉に氷解く硯匂へる       蕪村

 

 炉端で氷をとかしながら墨をすって手紙を書いてくれたんだね。ありがとう。って脇句を

付けた。それを几董に見せたら、

 

  しら梅の朝日に細く咲き出でて   几董

 

 

 朝、白梅がそっと咲いたよ。と優しく第三を付けます。きっと、これ、暮雨への返事に書

いたよね。

蕪村は、さらに、脇句を、

 

 

 骨朽つべきや寒中の梅       蕪村


にしようか、どうしようか迷ってます。骨はしっかりしてるよ。死んだりしないよ。ってい

うことかな。

 でもこうすると、次の白梅の句は使えないですね。梅を使っちゃった。たぶん、几董の白

梅を見て、梅の花良いなあ、梅の花は、寒い中を元気に凛と咲くなあ、匂いも邪気を払いそ

うだなあと感じたのかもしれません。

 どちらにしても、暮雨巷さん、励まされますよね。

 技を競ったり、点取り合戦したりの連歌、連句もワイワイ面白いでしょうけど、こんなふ

うに、仲間との交流に一役買っている連句、いいですよね。

季湖ワールド  カマキリたち

    写真 季湖

 

 エキナセアに2ヶ月余りの長逗留となった子。今日もいるよいるよ、可愛いなあ....とスマホ

を覗いていたら、尾角(尾葉ともいう)が開き、小さくて丸くて白いものが出てきてポロリと落

ちました。落ちたところが横倒しになったエキナセアの茎の上。
 蟷螂の糞は灰色っぽい黒いもので大きさももっと小さいです。じゃ、これはなに~~~?「お

そらくそれは精包ですね。交尾後のカマキリのメスでたまに精包を引っ張り出して食べる個体

がいます。お腹が膨れていれば近いうちに産卵するかもしれません。」というGoogle先生の答

えを得ました。嬉しいですヽ)/

 ⋯⋯と楽しみにし始めたのが814日朝のこと、間もなく台風7号に見舞われました。虫は賢い

から風が吹き始めたら身の危険を察知して草むらの奥に避難、風が通り過ぎるまでじっとして

いる。とは思いながら心配で心配で、、

 台風一過の16日早朝、父の霊送りを済ませてエキナセアを見に行きましたが、蟷螂の姿はあ

りませんでした。

 この日は母のデイサービス通所日。到着したお迎えの車の屋根に、な、なんと蟷螂が、、、
うちではあまり見かけないハラビロカマキリ。そっと掴んでエキナセアに置きました。

 


中々愛嬌のある顔をしています。

その後も毎日毎日、朝に夕にさがしたけど見つからないあの子、どこかで元気に産卵してくれる

 といいなぁ。

風がねぇ、、

 

でもきっと庭のどこかにいると思う。