落葉踏む私のことをいじめるな

 

冬暖か君に目薬差したげる

 

小六月ホース綺麗に巻いてある

 

冬木の芽曇りの空が似合ってる

 

掃除機をかけて寒さをごまかそう

 

  林田麻裕 

晩秋の服にかくれる瘦せっぽち

 

笑い泣き燈火親しき仲間たち

 

本日の痛い時間を赤とんぼ

 

ぼろぼろの歳時記ぺたんこの野菊

 

ゆく秋のドライリンゴの甘酸っぱ

 

  火箱ひろ


秋雲速しいつもどこかにある不安

 

先づ米の出来を尋ねて本題に

 

雨に覚め雨に眠りて寒露かな

 

絶対てふ決意が揺らぐ夕花野

 

霜降や処分のできぬキャットタワー 

 

  松井季湖


馬券ゴミざっと掃かれる秋の駅

 

大もうけできたらいいな月まんまる

 

大鍋にブイヤーベース馬飼うて

 

燈火親し爪のささくれそっと切る

 

お日和や渡り蝶来て小鳥来て

 

   おーたえつこ

      写真えつこ 貸農園のアサギマダラ

  


歩みつつ振り向く馬や月の道

 

芋掘りの集合写真てんやわや

 

大花野前代未聞の忘れ物

 

コンビニへ続きを買いに夕月夜

 

指の先秋の深まる気配あり

 

   たかはしすなお

    写真 すなお お芋掘り


馬の重心騎手の重心風よ秋

 

配当金黄金千貫芋けんぴ

 

灯火親し耳をはずして静か

 

立ち止まる晩秋いつもの交差点

 

続編は木の実を拾うころですね

 

  つじあきこ 

 

    写真 あきこ 公園の柊の花

 

 

  


調教の霧を分け来る蹄かな

 

勝ち馬の眼静けき秋の天

 

麦とろやハズレ馬券がポケットに

 

読経の祖母の抑揚夕もみぢ

 

灯火親しピンクレディのシール跡

 

  辻 水音        

曼殊沙華空のあの子に見えますやう

 

秋澄むや透明エレベーターにひとり

 

目の前をよぎる秋蝶きつと君

 

ドクターに気持ちのゆるむ野バラの実

 

パドックにとんぼう東京競馬場

 

  はしもと風里

 


 

物語の続きのように秋のバラ

 

遠い日の憧れ稲妻と去りぬ

 

灯火親し遠吠えの犬気にしつつ

 

秋灯しSDGsなふたりです

 

質したいこと五つほど花梨の実

 

  波戸辺のばら

   写真 のばら 大溝城跡