イマジンの弾かれ師走の駅ピアノ
サッチモの頬の膨らむクリスマス
魚眼レンズに冬青空を歪ませて
枇杷の花我ら家族であるふしぎ
友だちの形見のコートメモ一片
波戸辺のばら
写真のばら 枇杷の花
笑い声聞こえる山茶花の長屋
船団のように鴨たち寄ってくる
皿洗うだんだん懐炉熱くなる
裏道の明るく光るお正月
パトカーがゆっくり走るお正月
林田麻裕
切り株の年輪いくつ暖炉燃ゆ
亡き母の入れ歯出てくる小春凪
痩身を聴診される冬日和
春着縫うもう糸切れぬ糸切り歯
その話なかったことにしておでん
火箱ひろ
等分に分けて嬉しい冬青空
葉付き大根提げて先生さようなら
丸善へ走るばあちゃんクリスマス
雪こんこ人差し指で弾くピアノ
聖夜かな赤色点滅信号機
つじあきこ
写真あきこ 北野天満宮終い天神
簡単は簡単でなく神の留守
ユニセフに募金を送り息白し
川凍れば戦車走るとつぶやきぬ
葱抜くや土黒々と深々と
地獄行きおどされており冬の寺
おーたえつこ
クリスマスイブだ我らは夜勤組
シロッコファン静かに回る霜の夜
バスを待つ私うしろにサンタさん
忘れてたわけではないの花八手
暖炉燃ゆ兄のが欲しい弟は
たかはしすなお
あのひとも見てゐるだらう冬の星
ちち真似てあぁあ極楽冬至風呂
柚子風呂の柚子湯疲れをしてをりぬ
夫と娘に隠しおくクリスマスギフト
踊りつつ沈む紅茶葉クリスマス
松井季湖
写真俳句 季湖
焼きサバをつらぬく棒や雪ぐもり
毛糸玉般若心経そらんじて
USBの中は混迷ホットレモン
枯葉ふみふみあひづちの数いくつ
寒月夜ピッとSECOMの施錠かな
辻 水音
自愛しよう冬の青空見上げよう
音読の自分の声を聴く霜夜
赤ちゃんに光やはらか十二月
免許更新せよと亡き娘に冬の蝶
冬深し結果待つ間の佐野洋子
はしもと風里