繭玉抄
俳優といつかデートをしてみたい演技ではなく笑ってほしい
着るだけでヒロインになるワンピースアイスを二玉買っちゃおうかな
嘘なんかついたことない君は言う君なんだからそうなんだろう
十時のおやつチーズにするかいやバナナどちらにしても甘いカタカナ
ああ幸せと思っていたい温かいお湯に浸かっていないときでも
林田麻裕
繋がる五七五④
おーたえつこ 消しゴム版画 辻 水音
前回、幽霊やら妖怪やらが、句を付けてくれーって半ば強制的に頼んでくる
お話を書いていて、ふと、このお化けたちは私かいって思った。連句やろう
よーって、囲炉裏の灰の中から押しつけがましく声をかけて。
連句部のみなさんは、つまり、それらのお化けたちの相手をしてくださる懐の
深いお大師さま、黄門さまというわけですね。
みなさん、ありがとうございます。
今回の連句部の歌仙、一句ずつ、後ろに短く付け筋を書いてみました。
前の句からどういう連想で次の句を付けたかというものです。
付き過ぎず離れ過ぎず付けるのは難しいです。
しかも前の句より前の景に戻ってはいけない。前に使ったことのある言葉を
何回も繰り返さない。ハードなしりとりゲームか、きびしいフルーツバスケット
(これも言葉のゲーム。ご存知かな。)か、といった具合です。
ああでもないこうでもないって、LINEでわいわいやっています。
私、えつこがとりあえず捌きをしておりますが、ちゃんとできているのかどうか。
でも、とにかく繋がっています!
そこの旅のお坊様、付けて、付けて!
歌仙「冬晴れや」の巻
連句部(おーたえつこ・辻 水音・波戸辺のばら・つじあきこ)
消しゴム版画 辻 水音
雪とけて村いっぱいの子どもかな 小林一茶
低くたなびく野焼きの煙 水音
・村の風景
青き踏む扁平足で短足で のばら
・野遊び 低い→短い
また買いに行く十八切符 あきこ
・青→青春 足→また行く
月光がカップの酒に映り込む えつこ
・成人は十八お酒は二十歳 呑み鉄
マスカット食ぶ真白き前歯 のばら
・カップとカットの音 月光の白さ
弾き語る藤井風くん小鳥来る 水音
・マスカット→岡山 爽やか
相合傘のきらりくらりと えつこ
・風くんの歌「きらり」
婚礼の写真前撮り巽橋 あきこ
・相合傘→京都で写真撮影
人間ドック予約しなくちゃ 水音
・前撮り→予約 写真→レントゲン
猫砂の購入ボタンポチと押し のばら
・ドック→ドッグ→猫、ポチ 予約→ボタン
お茶のお誘い郵便受けに あきこ
・ご近所付き合いの雰囲気で
月涼し船遠ざかる水平線 えつこ
・郵便→船便 お茶会→夕涼み
おかえりと振る麦わら帽子 のばら
・船→おかえり 涼しい→麦わら帽子
生真面目に習いに通うフラダンス 水音
・振る→フラダンス おかえり→通う
閉校になる山の分校 えつこ
・習う→学校 通う→山の分校
花の昼ケチャップの顔笑い合う あきこ
・学校→給食、子供達の笑顔
赤いヒールの新入社員 水音
・ケチャップ→赤 子供はおとなになる
朧夜のボスは宇宙へ飛んだきり のばら
・入社した会社の社長が
ライムポトスを空席に置く あきこ
・社長いなくて空席 ボスとポトスの音
観客のいない試合で決勝打 えつこ
・座席が空いてる 累にランナー置いて
一心不乱に法華の太鼓 のばら
・一生懸命打ちます
冬囲い三男坊が家を守る 水音
・信仰も家も守る 法華経→坊主
動物園を逃げる狼 えつこ
・囲い→動物園 守るの反対で逃げる
本日ははとバスツアーゆったりと あきこ
・上野動物園→はとバス 逃げる反対ゆったり
お泊りしても構わないのよ 水音
・ツアー→泊まる
式場の手配私の言いなりに のばら
・お泊り→結婚 構う→手配
鍵に小さなカウベルつけて あきこ
・結婚→新居の鍵 結婚式→ベル
震災の仮設住宅月明り 水音
・鍵、カウベル→住宅
灯篭流す美しき海 えつこ
・震災→灯篭流し、海
絵唐津の壺に秋草投げ入れる あきこ
・灯篭流し→長崎→佐賀→唐津 美しい壺と花
文化勲章親子でもらい のばら
・陶芸家親子
腹の虫鳴いて夢から目が覚めて えつこ
・親子丼の夢 勲章も夢
木の芽田楽香りほのかに 水音
・お腹すいたね。夢のなごりほのか
花冷えの能面ずらりと並ぶ壁 のばら
・田楽→能楽 ほのかにの反対ずらりと
春の障子に影満ち満ちて あきこ
・壁→障子 能面の影