繭玉抄
サッカーの選手は疲れなんていう言葉知らない人種なんだろ
君想うゆえに我あり夕飯はカレーなんだし笑ってほしい
終わらない恋とか愛とかあるのかなあなたの好きなクッキーを焼く
もう誰にも愛しているって言わないわアイラブユーは分からないけど
ピカソほど長い名前をもし君が持ったとしても僕は覚える
林田麻裕
繋がる五七五④
おーたえつこ 消しゴム版画 辻 水音
昔話や民話などでも和歌の掛け合いや連歌付け句をするお話はけっこうあります。幽霊だか鬼だかが発句を出すお話も。
あるとき、旅の僧が泊まった空き家の囲炉裏の灰が、
灰ならし灰は浜辺の塩に似て
と呼びかけてくる。そこで旅の僧が
囲炉裏は海か沖が見ゆるぞ
と応えて無事に一夜を過ごす。沖は囲炉裏の燠のしゃれですね。
またあるとき幽霊が
下から上に下がるものかな
と詠みかけた。それで
藤の花水に映して見るときは
と付ける。すると幽霊はお礼を言って成仏するんだそうです。なぞなぞですね。
わかりました?(笑)
付け句をして成仏させてやるのはだいたい旅の僧です。お大師さんや一休さん
といった有名人だったりね。
先日読んだなかにあったのは、西行が小野小町の幽霊に歌を返してあげるお話。
でもこれは「宿神」という夢枕獏の伝奇小説だったから作者の創作かも(笑)
小町の場合は相手が西行よりも在原業平というイメージ強くないですか。
小町のしゃれこうべが
秋風の吹く度ごとに穴目穴目
と詠み、業平は
小野とはいはじ薄生ひたり
と詠んで弔う。
時代の新しい昔話だと、幽霊の連句相手は水戸黄門!なるほど、幽霊の相手を
してくれる人って、旅人で、心と時間に余裕のある人ということなんだな。
子供のころ、昔話や民話を愛読していたころ、河童や鬼に会ったときにどう
やって対処したら助かるのか、わりと真剣に考えたことがあったけど、和歌を
詠めば助かるってのもちょこちょこあって、もしかしたら私が五七五ってやり
始めた根っこはそこだったのか?(笑)
いずれにしても、こういう昔話や伝説がたくさんあるということは、人々が
五七五でやりとりをするということを認識して受け入れていたということですね。
(参考『昔話「幽霊の歌」にみる伝承の変容』 伊藤龍平 日本口承文芸学会)
季 湖 ワールド
今冬は寒い日雪の降る日が例年より多く、毎日のように雪がちらちら。
立春を過ぎてから二度の積雪がありました。比良山系から吹き降ろす雪起こしの強い風が
「雪が降るで~」と教えてくれるので覚悟が決まります(笑)
二度の積雪はいずれも車を出せないほどでしたが、お日さまが顔を見せるとあっという間にとけて、
これが春の雪なんだなぁと思ったことです。
徒歩出勤のおかげで楽しい風景に出会えました。たまには歩くべきですね、健康のためにも。
これが一番好きな写真。
雫に写りこんだ明るくて暗い如月の空
下 拡大しました。
2月24日は父の命日でした。七年経ちました。
比良颪の強い日で本堂の風鐸が激しい音を
たてながら大きく揺れていました。