繭玉抄
雨上がりの商店街のあの音やこの風をみな絵にしたいなあ
絵の中に入ったように明るいよ小さな小さなパン屋入ると
春雨のサラダをちゅるり恋してる僕の体に似合うおかずだ
君からの愛しているの言葉ほど熱い豆乳スープを飲むわ
父親とケーキ半分こにしたら女同士のような気がして
林田麻裕
うれしいお知らせ
繭玉抄の林田麻裕さんが、今年の俳句四季新人賞の最終候補者になりました。
「俳句四季」12月号に俳句とエッセイが載ります。
みなさん、読んでください。
百閒先生品評会
おーたえつこ
百閒先生の河童忌 消しゴム版画 水音
百閒さんは自分の俳句のことだけでなく、子規や漱石の俳句についても書いています。
子規については俳句評と言いながら、子規の顔の石膏像について百閒流のおふざけを書いてます。子規の俳句にはあんまり興味が無かったのかな。
漱石先生についても
春の発句よき短冊に書いてやりぬ
という句のこと、この短冊、漱石先生手ずからくださったんですよ。銀色の上等な短冊に上等の筆で書いて。それをまあ、「今は銀色が真っ黒になって墨と見境がつかない」って。「春の発句黒き短冊にかいてやりぬ」だって。
子規にも漱石先生にも失礼な百閒!
歯ぎしりの下婢恐ろしや春の宵
この句には、「明るい燈火の下に目に見えない不思議なものが、生温かく動いているらしい。」
釣鐘のうなるばかりに野分かな
「鐘楼の鐘が、ほんの少しずつ動いている。そうして、ひとりでに響を生じてきたらしい。遠くの響きに応ずる如く、鐘がうなりだしたのである。恐ろしいことである。」
叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな
木魚からふらふらと飛び出してきた蚊が「小僧の坊主頭の横を流れる時に、かすかにぶうんと鳴いた。」
ほんとか?(笑)
俳句の鑑賞というより、俳句にコラボして百閒先生のお得意の怪しい随筆みたい。もっと読みたい。それなのに無理やり鑑賞文に収めちゃったって感じ。
ちゃんと収めなくてもよかったのになあ。なんとなく残念。
季 湖 ワールド
松井季湖 写真 季湖
月活あれこれ
結局ことしの中秋の名月は現れず
8年ぶりの満月だったそうですが、、