ほがらかに咲いて紅梅話し好き
春立つ日神父の口はよく動く
サバ缶は三寒四温の三の方
てくてくとてんてん天満の盆梅展
ストレスとカレイの所為ね春寒は
たかはしすなお
賀茂川の水遊ばせて木の芽風
木の芽風ふっと老人ふと子ども
あんパン一つ春愁一個食べ尽くす
廃校のマルシェ椿の午前午後
春寒の友だち風の通り道
つじあきこ
写真 つじあきこ
全棟へスケボーの音寒明ける
春浅しオジサンといふ魚買うて
じれつたき兄の性分花菜漬
おむすびにかつぶし建国記念の日
桃咲いて易の「運気上々」と
辻 水音
かたはらに誰もゐない日シクラメン
呆然とをればうなじを春の風
春の空生きられるだけ生きてみる
花粉症に黄色の風が吹きつける
いつの間にこんなに老いてチューリップ
はしもと風里
春愁の岬の白いマリア様
春は曙迷路ばかりの夢をみて
風光るグレーヘアーに赤い靴
シフォンケーキ指でちぎって蝶の昼
春の朝フランスパンがにょきにょきと
波戸辺のばら
喧嘩して眠る毎日春浅し
娘から母さんになる暖かさ
この胎児（こ）のきっと好きな花だわ桜草
田蛙を乗せて一番偉いのだ
皿洗いにも負けない声や猫の恋
林田麻裕
あるだけの包丁研いで研いで春
春何度嫁入り道具の擂鉢と
覚えある気がする男花菜風
ふと子どもごころになるよ空は春
たんぽぽと口ずさむレット・イット・ビー
火箱ひろ
身の裡がコトと音たて春立ちぬ
淡雪や息をひそめて桂剥き
肉球に春泥めでたしめでたし
飼ひならす春愁てふ静かなデビル
骨納む比良の残雪明るき日
松井季湖
写真俳句 松井季湖
きさらぎのいちいち壊れるフェイスガード
日永し答えられない問いばかり
音楽に照らされているヒヤシンス
さえずりとモーツァルトとビートルズ
風光る人と人との距離測り
おーたえつこ
写真 おーたえつこ