繭玉抄
体毛を金色にして白猫がまっすぐ駆けていく秋の朝
金色の秋の光に染められて軽トラックは夢を見ている
女の子が欲しいなと言い友人は女の子みたいな目で笑う
ハローワーク月に何度も行っててもワークにハロー言えないでいる
無言で傘をくれた男子はどうしてる時雨の中で傘を見上げる
林田麻裕
歌仙「内閣に」の巻
連句部 消しゴム版画 水音
内閣に女子三人や濁り酒 えつこ
月見団子の高々盛られ のばら
鳥渡る空には風の通り道 水音
さらりと巻いた更紗のスカーフ あきこ
かち割りの氷チリチリ音立てて の
水中花にも花言葉あり え
阿修羅から太古の森へ誘われる あ
君と分けあう18切符 水
とけかけの冷凍ミカンはい、あーん え
郵便受けに返す合鍵 の
Gパンのお尻を揺らし出国す 水
鶏もも肉のパリパリソテー あ
冬の月珈琲の香の未成熟 あ
おしくらまんじゅう弾き出されて 水
メルカリでわたしの詩集売れました の
ノーベル賞を受賞する夢 え
桐箱に銀の盃花の宴 水
紙風船と野原に遊ぶ あ
球場も予防接種の会場で え
カラーコーンが五百連なり 水
少年の日の好奇心持ち続け あ
藤井聡太の指し手厳しく の
胡瓜もむ演歌はやっぱりこぶしだねえ 水
利根川に住む美人の河童 え
逃がさへん自惚れ鏡にらみつけ の
エプロンの紐結び合いっこ あ
思い出を箱詰めにしてそれっきり え
山に籠って仙人暮らし 水
月のぼるベンチに人影猫の影 あ
虫の楽団麻布十番 の
秋灯しプリマドンナは骨折で の
章魚くねくねと波間にゆれる え
海底に沈んだ村の礼拝堂 え
春の陽射しにトーテムポール 水
お弁当六つ並べて花の下 あ
再会の友春ショールふわ の
季 湖 ワールド
松井季湖 写真 灯り(ネットから) 星空(友達の写真)
豆苗の写真は豆苗4期作目
さすがに4期作目ともなると苦戦しております~~
季湖さんからのメッセージです。