繭玉抄
林田麻裕
金魚にも歩きたい時あるだろう私も泳ぎたい時あるし
君泳ぐ方に私も泳いでくもしかして愛してるのかしら
恋愛はいいものかしらスパサラダよりもときめくものなのかしら
母さんと靴がおそろいクリクリの垂れ目おそろい茅の輪をくぐる
お地蔵様に手を合わせてた男の子くるっと回って照れ笑いする
歌仙「荒れ梅雨や」の巻
連句部
荒れ梅雨や街灯の灯の途切れがち えつこ
簾越しなる川の水音 水音
ランウェイの真ん中歩く長い脚 のばら
煮豚の紐を手慣れたふうに あきこ
円卓を何度も回し月の宴 のばら
雑技団めく案山子のポーズ えつこ
季寄せからはらりきのうの山紅葉 あきこ
君のまなざし日記にしるす 水音
あの子のと同じじゃないのこの指輪 えつこ
質屋の主高倉健似 水音
映画館帰りはみんな怒り肩 のばら
私の黒子バニラビーンズ あきこ
冬の月蒟蒻の味染みるころ あきこ
酒出せぬ店湯気立てており のばら
またしても三日坊主のスクワット 水音
福知山城何夢見てる えつこ
花篝昔は美人だったのよ のばら
たんぽぽ五本青いグラスに あきこ
耳の無いゴッホの黄色陽炎いて えつこ
駱駝に乗って鳥取砂丘 水音
塗蓋の源氏香文湿布貼る あきこ
PayPayで買うリポビタンD のばら
ナイターのオオタニサンのホームラン 水音
天国へ向け花火打ち上げ えつこ
亡くなったじいちゃん頭をぽんぽんと えつこ
いつもの背中追いかけている あきこ
七人の恋人私は肉食で のばら
雄叫び上げてバンジージャンプ 水音
ナウシカと月と魚とダンスする えつこ
星を祭れば世界はひとつ 水音
赤とんぼ野辺の仏に羽根休め のばら
色鉛筆をゆっくり削る あきこ
瓔さんの銀の髪留めきらきらす 水音
蜃気楼から連ね出る舟 えつこ
花咲き初む満開までを見届ける あきこ
結納店につばめ飛び交う のばら
令和三年七月十三日首尾
消しゴム版画 水音
季 湖 ワールド
松井季湖
母がみる
夢の世界を
覗きたし
寝言にわが名と
くすくす笑ひ
きっと楽しい夢でしょう。
いつも楽しい写真を送ってくれる季湖さん。
動画も送ってくれるのですが、それを載せる方法が・・・・。
「蚊取り線香の徹夜明け」