笑うよう泣くよう太陽の塔冴ゆる
温室のペリカン空を巡りけり
銀盤や氷を蹴れば鳥になる
山ねむりけり鳥は人人は鳥
山ねむりけり鳥は鳥人は人
おーたえつこ
老人の活発快活革ジャンパー
百歳になって何するうさぎがぴょん
睨みつけラクビーボール蹴っ飛ばす
女正月ホットサンドを頬張って
鈴の緒は括り上げられ初御空
たかはしすなお
冬の夜のこそと一節しはがるる
魚臭き始発電車や年新た
読初のだれもかれもが謎めける
なんで叱られたのだらう風花す
久女の忌卵に塩をひとつまみ
辻 水音
初雪来モノクロ東京物語
母の匂い山家の匂い冬菜洗う
初御空つんと上向く靴の先
水鳥の羽音きらめく湖の音
たっぷりと水鳥といる時間なら
つじあきこ
写真 つじあきこ
いもうとは麻酔につかれ小春かな
書き込みを譜面に遺し冬の蝶
覚悟には覚悟で応ふ今朝の冬
豆皿を飛び立つ千鳥寒に入る
大寒やゴム手袋の赤うつくし
はしもと風里
空っ風わたしの心裸ん坊
例題で早やつまずいてる梟
出番無き赤いルージュや初鏡
雪の日の黒猫伸びたり縮んだり
霜柱ほどの挫折と屈折と
波戸辺のばら
まどろみの夢やうつつやしづり雪
ひめはじめしらじらと湖あけてきし
厠へと母を促す冬の星
寒暁や母の寝言に「お父さん」
冬晴れにちよつと口笛なんぞ出て
松井季湖
写真俳句 松井季湖
亥の子餅玉露がもっと玉露味
カレーランチだけの関係冬暖
去年今年イタリア映画終わらない
買いたい物を検索検索お年玉
読初の大きなしかけ絵本かな
林田麻裕
正気だか何だか歩け歩け雪
ゴリラ的ごろんごろごろ日向ぼこ
雪婆ゆくゆく湖の風となる
テラスから雪大文字見よと声
今が旬そんな男だ榾火照る
火箱ひろ